下仁田の大地 3つの魅力

~日本列島の誕生をひもとく根なし山~

1.「根なし山」をつくった海から陸への大変動

まち中から見える山並みは、昔話に描かれたようなポコポコした形です。日本の地質100選にも選ばれた「根なし山(クリッペ)」は、アジア大陸東縁にあった岩石が太平洋側にのし上げて移動したものです。

この周辺には海洋でできた良質の石灰岩があり、おおいに利用されました。また、山沿いの石混じりの土地は、こんにゃく栽培に利用されました。

大地の大移動の痕跡

跡倉あとくらクリッペのすべり面

上の地層が動いてきたときの境目です。岩盤が移動したときに、岩盤がこすれたようすがみられます。

大桑原おおくわばらのしゅう曲

大地が動いて地層が押し曲げられたようすがみられます。

蒔田まいた不動の滝

クリッペをつくる岩の一つ、下仁田最古のかこう岩類(みかげ石のなかま)が落差40m の滝をつくっています。

そばには不動明王がまつられた不動尊があります。

根なし山の地盤をつくる岩

青岩公園

大昔の海底火山の噴出物でできた緑色の岩畳が特徴の公園。かぶら川と南牧川の合流点で、川原では色とりどりでたくさんの種類の石がみられます。

白石工業白艶華はくえんか工場

石灰岩から炭酸カルシウムをつくる工場です。石灰岩は大昔のサンゴ礁の名残です。
※ 現在、下仁田で採掘はしていません。外観からの見学のみで、工場内には入れません。

おもな見どころ
ジオ
青岩公園、7つの根なし山(御嶽、大崩山、四ッ又山、富士山など)、跡倉クリッペのすべり面、大桑原のしゅう曲、宮室の逆転層、蒔田不動の滝、奥栗山渓谷、中小坂鉄山
文化
白石工業白艶華工場、こんにゃく畑と石積み
生物
好石灰岩植物(キンモウワラビ、ブコウマメザクラなど)

2.太平洋と日本海を分けた 古い火山地帯

荒船山は群馬、長野県境に位置する古い火山です。
川は山をはさんで東側は太平洋へ、西側は日本海へそそぎます。
妙義山も古い火山で、石門などの奇岩が多く見られ、国指定の名勝で日本三大奇勝の1つとされています。
荒船風穴は、夏でも冷風が吹き出す地形を利用した絹産業の世界文化遺産で、近くの神津牧場は、地すべりによる広大な平坦面を利用した「日本最古の洋式牧場」です。

荒船山

かつての大規模な火山活動で噴出した溶岩の名残です。日本200名山の一つで、登山客に人気の山です。

妙義山

妙義山は赤城山、榛名山とともに上毛三山と呼ばれています。石門群、大砲岩、ローソク岩など、大自然の造形美は見る者に感銘を与えてくれます。

世界文化遺産 荒船風穴

マグマが固まった硬い岩が崩れてできた岩場からは現在でも冷たい風が吹き出します。明治から昭和初期にかけて、日本最大級の蚕種冷蔵施設として富岡製糸場とともに日本の絹産業を大きく支えました。

じぃとばぁ

一番右の岩峰が「ばぁ」次が「じぃ」、左側の岩峰群が「こたつ」と言われています。火山の噴出物が長い年月、風雨に削られ奇岩となりました。

神津牧場

日本最古の洋式牧場。ジャージー牛の新鮮な生乳を原料に、品質の高い乳製品を製造、販売しています。牧草地で毎日みられる牛の行列は圧巻です。

鶏冠石(けいかんせき)

群馬県の石(鉱物)(西野牧鉱山跡)
マグマ活動の影響でできたヒ素を含む珍しい鉱物です。
※ 私有地の為採取出来ません。毒性があり注意が必要です。

荒船山山頂

山頂は1.2kmほど平坦になっています。ミズナラの林、クリンソウやオタカラコウなどが自生する湿原がみられます。

おもな見どころ
ジオ
荒船山、じぃとばぁ、妙義山・石門群、鶏冠石
文化
神津牧場、荒船風穴、温泉、鉱山跡
生物
チャツボミゴケ、妙義山の名がつく植物(ミョウギシダ、ミョウギシャジンなど)

3.東西の文化とモノの交差点

下仁田町は東西に流れるかぶら川の谷あいにあります。武州・上州と信州を結ぶ「下仁田の道」は、石器時代には信州産黒曜石の通り道でした。近世以降には信州の米、南牧の砥石下仁田の名産の麻、絹、紙、石灰も運ばれました。特産のねぎとこんにゃくは、往来の人びとに愛されてきました。

関東で唯一見える中央構造線

まちなかにある諏訪神社対岸の河床には、日本列島を東西に横切る中央構造線(大断層)がみられます。この影響で、かぶら川の谷が東西にできました。

本宿もとじゅく(宿場町)


馬山丘陵

馬山地区には2面の段丘地形がみられます。上位段丘には、原始時代の遺跡が多く確認されており、戦国時代には山城も築かれました。特産品「下仁田ねぎ」の一大産地になっています。

下仁田あじさい園

馬山丘陵の段丘崖を利用したあじさい園。6月中旬~ 7月上旬にあじさい祭りを開催、あじさい園からは、西上州の山並みが見渡せます。

こんにゃく精粉工場

下仁田の谷地形は水車を利用したこんにゃく精粉に適していました。電力に代わった現在でも、全国有数のこんにゃく精粉加工地として各地のこんにゃく芋が集まります。

すき焼き

特産の下仁田ねぎ、こんにゃく、しいたけを使ったすき焼きは学校給食でも人気の献立です。

上信電鉄下仁田駅

関東の駅100選

上信電鉄は豊富な資源を運び出すため、明治30(1897)年に高崎ー下仁田間が開通しました。駅周辺には昭和レトロなまちなみが残っています。

諏訪神社

豪華な社殿で、柱や梁には立派な彫刻が見られます。秋の例大祭は天保年間から続く歴史があり、神輿や山車が練り歩く盛大なものです。

下仁田戦争の史跡

幕末の下仁田では水戸天狗党と高崎藩の戦がありました。町内には両陣営跡や、墓地が残ります。

おもな見どころ
ジオ
馬山丘陵・遺跡街道(上位段丘)、下仁田と馬山の平坦面(下位段丘)、不通渓谷、はねこし峡、下仁田層、川井の断層(中央構造線)
文化
下仁田のまちなみ、下仁田駅、諏訪神社、下仁田戦争の史跡、こんにゃく精紛、高橋道斉の墓、小坂坂峠道、鬼ヶ沢橋梁、本宿の宿場跡、米山寺(馬山東城跡)、あじさい園(段丘崖の利用)
生物
ねぎ畑、あぶだ福寿草の里